2020年3月5日木曜日

電線共同溝の地上機器について

日本は世界的にみても電柱や電線が多い国だとされています。
電柱を使って架空線で配線する方式には「安く迅速に工事できる」「狭い道でも配線が容易」というメリットがありますが、景観に対する悪影響や、地震や風水害といった災害への弱さが問題視されてきました。そこで我が国でも進められているのが「電線類地中化事業」です。

現在行われている電線類地中化事業では、電線共同溝(C.C.BOX)という管路を地中に埋め、そこに様々な事業者の配電線や通信線を収容するという方式がとられています。
この管路は普段は地中に完全に埋もれていて、地上から目にすることができませんが、管路の途中途中に設けられる地上機器やマンホールといった「特殊部」を目にすることはできます。

今回は九州電力管内の地上機器を撮影してきましたので、写真とともに紹介します。

■地上設置型開閉器塔(SWT)

開閉器とは電気用語でスイッチを意味します。
6,600V高圧系統を区分するための装置で、高圧系統を切ったりつなげたりする役割があります。一般的に、普段は開閉器が「閉」つまりオンの状態になってますが、作業や保守点検などで必要な際には「開」つまりオフにすることができます。

地上設置型変圧器塔(TR)

6,600Vの高圧で送られてくる電気を降圧し、100V/200Vの低圧に下げて配電するための装置です。通称「パットマウント」と呼ばれています。
電気は高圧であればあるほど、大量の電力をより細い電線で送電でき、さらに送電ロスが少なくなるという性質があります。しかし、高圧の電気には、感電のリスクなどが高いなどの扱いにくい点があります。そのため、変電所やパットマウント変圧器など要所要所で変圧して、目的通りの電圧に調整しています。

■地上設置型低圧分岐装置(LB)

地中の低圧電線路の幹線を分岐させ、家庭やお店といった需要家に配線するための分岐箱です。地上設置型のほか、地中のハンドホール内に設置する分岐装置もあります。
他の電力会社ではLBではなくLSと略しているところが多いようです。

■おわりに
この記事を書いたのは、「地上にいろんな機器が置いてあるけど、なんのための箱なんだろー?」と疑問に思ったのがきっかけでした。この記事を通して、電線共同溝について知識が深まれば幸いです。
地上に設置される機器としては、今回ご紹介した3種類がほとんどを占めます。
今回ご紹介した機器はすべて地上に露出しているものですが、このほかにマンホールやハンドホールも撮影してきました(蓋だけで、内部は撮影していませんが...)。こちらも機会があったらご紹介したいと思います。

■参考にさせていただいたサイト
九州高圧コンクリート工業/ハンドホール
地上機器の略称と正式名称を紐づけるのに役立ちました。
配線分野 | 九電テクノシステムズ株式会社
LBの役割について調べさせていただきました。
CCBOX(電線共同溝)とは?
電線共同溝の基礎知識について、わかりやすく解説されています。
電線共同溝の設備 | 道路 | 国土交通省 関東地方整備局
電線共同溝の機器の概説と、ハンドホール内部の写真が閲覧できます。

※2020/3/15 - 画像の差し替えを行いました。

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